おもと四方山話

No、4

11月13日  讃岐富士

no、3戻る

no、5へ

千代田城に関連した話をもう一つ、大象冠と言うおもとは中々興味深いおもとでさまざまな品種に変わっている。どんな遺伝子を持っているか私には知る由もないが、形状から判断すると残雪、駿河富士、鷲高隅等は大象冠からの変化種ではないかと思われる。色々、書籍で調べてもはっきりと明記はされていないが・・このように原木が不明のま紹介されている品種はほとんどが古くから有る品種で変化した年代、場所等は大まかな説明がされているのみである。たとえば駿河富士は駿河とつけられているので静岡県で変化したのであろうと想像される、鷲高隅においては「葉にあるしかみを鹿児島地方で鷲と呼ぶ」と言う位しか書かれていない。したがって先に書いたように形状から想像するしか無いのである。鶴裳と言うおもとがあるがこの鶴裳が大象冠の実生だと言うのを聞いた事がある、真偽の程は不明だが葉型の違いは有るものの鶴裳と千代田城の柄を比べると鶴裳が大象冠の実生だと言われても納得が行く。古くから羅紗系の名品天光冠が褥錦の実生だと言われているが、故人となられた某実生家が「何十回かわからないが褥錦の種を蒔き続けたが1本の羅紗どころか、天光冠の葉型をしたおもとさえ生えなかった」と言われていた。確かに天光冠は褥錦から生えたと言われてはいるがセルフで生えたとは言われていないのでまったくの嘘だとも言い難い、神のみぞ知る、の世界である。
大象冠からの変化種で讃岐富士と呼ばれている品種がある、これは名前に讃岐と付いてはいるが香川県(讃岐)の生まれではなく徳島県の産である、徳島県相生町(現在は那賀町になっている、切り葉おもとの産地)で地植えの大象冠から変化したもので、大象冠から千代田城に変化した木を見るより以前に香川県の蘭商の方が持ち帰られたもので、価格を聞くと50万円と言われた。この原木は現在私の所で培養しているが僅かに柄が残っているような状態である。柄は総白斑で木が古くなると暗んで行く性質の様だ。同様な変化は他所でも有った様に聞いてはいるが真偽の程は不明である。最高の柄は白味が強く非常にきれいで目を引く柄である、第2回目の萬風展に出品したがこの木は子供2本を残し残念ながら枯死した。この木も千代田城と同様根が細く、性質も弱い方では有るが、萬風展出品後に望まれて鹿児島県の方へ2才割子が行ったが数本増えたと言われた。昨年小さい木をお願いして譲って頂いた。(右側の写真の木)左側の写真の木が1番子でこの木は茨城県にて培養されているが増えたと言う話は聞いていない。
この木が実生から出たのではなく、芋変わりで出現したと言う事に価値があると思っている。それにしても大象冠と言うおもとは興味の尽きないおもとである。

                    クリックで別画面

おまけ

この文を書いた翌日お客さんの所へお邪魔したところ以前より作られている讃岐富士を売ってもいいと言う話になり1本子付き2鉢入手出来ました。1鉢は親子共斑もあまりなく大した木ではないのですがもう1鉢は親木はまあまあの柄ですが子の柄が良く持ち帰り早速割りました。(写真はこちらから)
熊本大会に持って行こうと思っていますが、いくら値段をつけようかな〜