おもと四方山話

No、3

10月 5日   千代田城の思い出

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先日、家でこんなおもとを見つけた。残雪の図が抜けたもの、つまり大象冠である。その大象冠に黄白色の縞が出ていた、この木を見た時24年前に見た千代田城の事を思い出した。
気温もだいぶ上がって結構暑かった事を覚えている、大手の先輩業者、A氏とB氏そして私、3人で高知県東洋町で当時1町歩だったか2町歩だったかはっきりとは記憶にないがとにかく大量に地植えで切り葉用のおもとを作られている方を訪ねた。その方が徳島支部の展示会を観に来られていてそのような話が出て、それでは一度見に行こうと言う事になり四国には高速道路が全くなかった時代なので、5時間程かけて行ったと思う。途中鳴門大橋が完成して半月程しかならないから話の種に渡って行こうという事になり淡路島のSAまで(このSAまでしか開通してなかった)行きトイレに行ってUターン、結局トイレに行くために数千円を払った様なものだったが、結果、年はおろか月まで記憶に残ることになった。


持ち主の後について作場へと行く、場所は山裾で何か所にもビニールハウス
があり主に大象冠を作られていた。何百か何千かの大象冠はまさに圧巻であ
る。「こんなのがたまに出るよ」と言って指を差されたのが、大象冠に細い縞が
入ったものであった。縞といっても絹糸位の太さで葉先から葉元まで通っていた

縞の色は色は純白だった。ちょうど出芽の時期であったので新芽をのぞいて見て
びっくりである、3〜4センチ位伸び始めていただろうか、新葉はすべて千代田城
になって出始めている。今のようにデジカメなどない時代、もしあの新葉の写真が
今残っていたら非常に貴重な写真であっただろうと思うと残念である、自分の記憶
の中には鮮明に残っているが・・。
斑は突然変異といわれるがまさに言葉通りである。今思うとあのような変化の瞬間
を目の当たりにした事は、おもとに携わっている自分にとって貴重な体験だったと
思う。その他、ほとんど千代田城になっているもの、半柄のようになっているもの、
片葉だけが変わっているもの等、20〜30本程(もっと多かったかも?)はあったよ
うに思う。千代田城に変わった大象冠はすべて和歌山県より仕入れた一部の物で
同じ和歌山県から仕入れた分でも仕入先が違う分や、他の地域から仕入れた大象
冠からは1本も出なかったと話された。DNA、つまり血統の不思議である。以前、
田哲園氏のホームページで地植えの大象冠から千代田城の割子が上がっている
写真を見た事があるが(最近オモトボーイ君のブログにも出ていました)あれはおそ
らく、千代田城が青くなり大象冠になったものからの出現ではないかと思っている。
千代田城は一時期、絶種していた?と聞いた覚えがある、真偽の程は不明だが現
在流通しているのは静岡県の某業者が再び発見したものが元になったと聞いたこ
とがある。静岡県の某業者も高知県に商売に来ていたと言う事を聞いているので
もしかしたら??  その後、A氏、B氏が日を置かずして再び高知県を訪れ変化し
ていた分は全て持ち出したが、その後数本(私が知っているのは2本)が新たに変
化した様だ。高知県の栽培業者の方もずいぶん前に廃業されたと聞いているので
再び変化を見る事はもう無い、と思うとあの時の体験がより貴重に思える。